チャプター 6: あなたが話している女性は誰ですか?

ライラ視点

イーサンに抱きかかえられてクラブの中を移動している間も、世界はぐるぐると回り続けていた。点滅するライトと腹に響く重低音が、吐き気をさらに悪化させる。私は目を閉じ、すべての刺激を遮断しようとしたが、めまいが強くなるだけだった。

彼の腕は力強く、混雑した店内を進む間も、私をしっかりと胸に抱き寄せて離さない。

出口に向かうと思っていたが、予想に反してイーサンは急に角を曲がり、私が気付かなかった廊下へと入っていった。そして肩でドアを押し開け、オフィスらしき部屋へと私を運び込む。

彼は無造作に、壁際の革張りソファへ私を横たえた。ひんやりとした革の感触が、火照った肌に心地よい。私はぐったりとして方向感覚も失ったまま、部屋の中を動き回るイーサンを目だけで追った。

VIPルームを出てから、彼は一言も発していない。その表情は集中していて硬く、何を考えているのか読み取れない。一体どうするつもりなのか尋ねようとしたその時、彼の電話が鳴った。

イーサンはポケットから携帯を取り出し、画面を一瞥するとすぐに応答した。彼は私に背を向け、ソファで震えている私から視線を外す。

「あぁ」

彼の声が、突然温かく優しい響きを帯びた。VIPルームで見せた冷徹で威圧的な口調とは、まるで別人のようだ。その声を聞いた瞬間、胸の奥が予期せずちくりと痛んだ。

相手が何を言っているのかまでは聞き取れないが、その高いトーンからして間違いなく女性だ。話を聞きながらイーサンの肩の力が抜け、そして彼が笑った――私が今まで聞いたことのない、心からの、慈愛に満ちた笑い声だった。

「いや、俺が何とかするよ」彼は親密な囁き声で言った。「いつものことだろ」

(誰と話しているの?)

霧のかかったような頭の中で、その疑問が焼きつくように渦巻いた。

(彼女なの? 婚約パーティーにいたあの女性? 私が馬鹿みたいに突っ立っているそばで、彼の名前を喘いでいたあの人?)

二人の会話は滑らかで、私の吐き気とは無関係な不快感で胃がキリキリと痛んだ。そこには、内輪ネタや共有してきた過去が織り交ぜられた、あまりにも自然な親密さが漂っていたからだ。

突然、イーサンが振り返った。電話中に歩き回る癖があるのだろう。彼の視線が私を捉え、その表情が変わるのを私は見ていた。

柔和だった顔つきが一瞬にして硬化し、眉間にわずかな皺が寄る。露出の多いストリッパーの衣装を着て、彼のソファに無様に横たわる無防備な私の姿を見て、彼は何かを判断したようだった。

会話を続けながら、彼は着ていた高級スーツの上着を脱いだ――さっき私がシャンパンをこぼしてしまったあの上着だ――そして、それを無造作に私の上に放り投げ、露出した体を隠した。それから再び背を向け、まるで私がそこにいないかのように電話を続ける。

(私のことが汚らわしいのね)

熱に浮かされた状態でも、屈辱感が体を焼いた。

(当然だわ。イーサン・パチェコのような男が、私みたいな安っぽいストリッパーを相手にするわけがない)

私は彼の上着をかき集めて体に巻き付けた。拒絶されたような痛みはあったが、体を隠せることには感謝した。

生地からは彼の匂いがした。白檀と、彼特有の何かが混じり合った陶酔させるような香り。それはまだ彼の人肌で温かかった。上着をきつく巻き付けた時、電話を持つ彼の手の甲に、小さな赤いほくろがあるのが目に入った。

(もし本当に妊娠していたら……)

その考えは、トラックに撥ねられたような衝撃を私に与えた。このめまいも、吐き気も、ただのストレスや過労じゃなかったとしたら? まったく別の何かの兆候だとしたら? この男と私を永遠に結びつける何かの。

たった今、あんな目で私を拒絶した彼が、私たちの子どもを認めるだろうか? 自分の子だと認めてくれるのだろうか?

VIPルームでの出来事――シャンパンをこぼしても怒らずに笑ってくれたこと、優しく抱き上げてくれたこと――あれは本物だと感じたのに。ほんの一瞬、ワンナイト・ラブ以上の何かがそこにあるのではないかと思ってしまった。

けれど今、彼は私が具合悪く寝ている横で、別の女性と親密に話している。

もう耐えられなかった。めまいに襲われながらも、私はソファから身を起こした。動きはぎこちなく、小柄な体に彼のブカブカの上着を巻き付ける。立ち上がると足元がふらついたが、ここから立ち去りたい、彼とこの辛い状況から逃げ出したいという一心だった。

ドアに向かおうとしたその時、イーサンが通話を終えた。彼が振り返り、立ち上がっている私を見て黒い瞳を細める。

「どこへ行くつもりだ?」

声は低く冷たいトーンに戻り、電話で見せた温かさは微塵も残っていなかった。

「家へ帰るわ」

なんとか絞り出した声は、思っていたよりも弱々しかった。

「送っていく」彼はきっぱりと言った。「これは頼んでいるんじゃない、決定事項だ」

「一人で帰れるわ」私はふらつく足取りでドアへ向かいながら主張した。「あなたの助けなんて要らない」

「まともに立てないくせに」彼は距離を詰めてくる。「強情を張るな、ライラ」

「大丈夫よ」部屋が危険なほど傾いで見える中、私は言い返した。「ただ、新鮮な空気が吸いたいだけ」

彼が手を伸ばし、私の手首を掴んだ。「俺に送らせろ」

議論の余地を与えない口調で、彼は繰り返した。

私の中で何かが切れた。自分でも驚くほどの力で腕を振りほどき、その勢いでバランスを崩しそうになる。

「電話の相手は誰?」

止める間もなく、その質問が口をついて出た。生々しく、非難めいた響きを持って。

イーサンの目がわずかに見開かれた。純粋な驚きが顔をよぎったが、すぐにその表情はシャッターを下ろしたように閉ざされ、冷たく読み取れないものへと戻った。顎に力が入り、嵐の前の黒雲のように表情が曇る。

「どこまで聞いた?」

彼は危険なほど静かな声で尋ねた。

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