第61章:コントロールフリーク

ライラ視点

翌朝

淹れたてのコーヒーの香りに誘われてキッチンへ向かうと、入り口で私は足を止めた。目の前に広がっていたのは、思いがけない光景だった。

イーサンが朝食のテーブルにつき、新聞を広げ、湯気の立つマグカップを手にしていた。だが、彼はいつもの洗練された完璧な紳士とは、まるで別人のようだった。

普段は完璧に整えられている髪はあちこちに跳ねていて、何度も手でかき上げた跡が見て取れる。顎には無精髭が影を落とし、ワイルドな雰囲気を醸し出していて、それが妙に魅力的だった。だが、何より目を引いたのは彼の瞳だ。充血し、疲れ切っていて、目の下の隈が一睡もしていないことを物語っていた。

まるで「堕...

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