第9章:中絶

ライラ視点

私は丸二日間、アパートに引きこもっていた。「エクリプス」には病欠の連絡を入れてある。もっとも、店に私の不在を気にかける人なんていないだろう。私の代わりなんて、もっと若くて綺麗な子たちがいくらでもいるのだから。つわりは悪化する一方で、「モーニング・シックネス(朝の病気)」なんて名前のくせに、朝だけでなく一日中、不規則に襲ってくるようになっていた。

こんな状態で、どうやって子供を育てろというの? 自分の食費だってギリギリなのに。それに、もし子供に父親のことを聞かれたら何て答えればいい?

『悪いけど、坊や。パパは金持ちのクソ野郎で、あなたがこの世にいることすら知らないの。おまけに、...

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