第90章:私は永遠にあなたと別れます

ライラ視点

カーテン越しに朝の光が差し込み、私の隣にある何もない空間を柔らかく照らしていた。手を伸ばしてみるが、指が触れたのは冷たいシーツだけ。そこにあるはずのイーサンの温もりはなかった。もっとも、驚くことではない。昨夜あんな喧嘩をしたあとで、彼が「甘えん坊さん」になって私を優しく抱き寄せてくれるはずもなかったのだから。

隣の部屋から響いたガシャンという音に、私は飛び起きた。急に動いたせいで背中が悲鳴を上げ、思わず顔をしかめる。妊娠五ヶ月ともなると、あらゆる動作が一苦労だ。朝、ベッドから這い出すことでさえも。

音の正体が気になり、膨らんだお腹をローブで包み込むと、裸足のまま廊下へと出た。...

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