第10章 父の去り

「お父さん、本当に死ぬのが怖いなら、警察に行ってよ。借金のことも全部話して、ギャンブル依存症を治して。お願いだから……もうこれ以上、お父さんと一緒に地獄に落ちるのは嫌だよ!」

私の声が、がらんとしたバックヤードに虚しく響き渡る。父は私の目の前で膝をつき、ぐしゃぐしゃに伸びた髪を両手でかきむしり、無精髭だらけの頬を涙で濡らしていた。

突然、店長が血相を変えてバックヤードのドアを押し開き、父の腕を掴んで床から乱暴に引きずり上げた。

「いい加減にしろ!」

店長の声は、私の記憶にあるどの時よりも低く、厳しかった。

「うちの大事な客と店員に迷惑かけてんじゃねえよ!」

無理やり立たさ...

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