第12章 モブキャラがヒロインに昇格
もうすぐ、あの日から一年が経とうとしていた。
「なあ、すみれ。そろそろ俺に、正式な彼氏っていう肩書きをくれないか?」
私のアパートで、手際よくコンビニの制服を畳みながら、斉藤くんが不意にそんなことを口にした。
カタカタとキーボードを叩いていた私の指が、ぴたりと止まる。
「どうしたの、急に」
くるりと椅子ごと振り返ると、斉藤くんが珍しくむくれた顔で唇を尖らせていた。
「母さんに、取引先の社長の娘さんとのお見合いをセッティングされたんだ。これで三回目」
彼はやれやれとため息をつく。
「このままだと、ゴールデンウィークも実家に帰りたくない……」
その情けない様子に、思...
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チャプター
1. 第1章 誤って送られた弁当
2. 第2章 ごめんなさい、この三ヶ月弁当は全部私が食べました
3. 第3章 意外なランチと気遣い
4. 第4章 深夜の逃亡

5. 第5章 意外な避難所

6. 第6章 若様と野良猫

7. 第7章 勇気と警告

8. 第8章 真実と勇気

9. 第9章 父の懇願

10. 第10章 父の去り

11. 第11章 東京での再会

12. 第12章 モブキャラがヒロインに昇格


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