第5章 意外な避難所
斉藤さんにぐいと手首を掴まれた。その眼差しには、どこか咎めるような色が滲んでいる。
「なんで連絡くれなかったんだ」
彼に掴まれた自分の手首を見下ろす。そこから伝わる確かな温もりが、冷たい夜風と鮮やかな対比を成していた。
「私……スマホ、持ってないから」
私は消え入りそうな声で白状した。
斉藤さんの表情が、責めるものから合点がいったというものに変わる。彼は私の手首をそっと離すと、軽く頭をぽんぽんと叩いた。
「なるほどな。スマホもいじらない真面目な優等生ってわけか」
そして、探るように尋ねてくる。
「腹、減ってる?」
こくりと頷くと、堪えていた涙がまた一筋、頬を伝っ...
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チャプター
1. 第1章 誤って送られた弁当
2. 第2章 ごめんなさい、この三ヶ月弁当は全部私が食べました
3. 第3章 意外なランチと気遣い
4. 第4章 深夜の逃亡

5. 第5章 意外な避難所

6. 第6章 若様と野良猫

7. 第7章 勇気と警告

8. 第8章 真実と勇気

9. 第9章 父の懇願

10. 第10章 父の去り

11. 第11章 東京での再会

12. 第12章 モブキャラがヒロインに昇格


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