第7章 勇気と警告

月曜日の放課後、教室にはねっとりとした異様な空気が漂っていた。

斉藤さんの席はぽっかりと空いていて、鞄も見当たらない。

「聞いた? 斉藤、週末に鹿島さんに告白して振られたんだって。それで腹いせに、松本雨に鹿島さんをいじめろって頼んだらしいよ」

前の席の女子がひそひそと話している。だがその声は、静まり返った教室の後ろまで、嫌にはっきりと届いた。

「普通科の子から聞いたんだけど、今、親に家に軟禁されてるらしいよ。こっちのクラスからも追い出されるかもって」

もう一人の女子が、さらに尾ひれをつけて言った。

眼鏡をかけた男子生徒が、ふん、と鼻で笑う。

「金持ちのボンボンはとっと...

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