第8章 真実と勇気
斉藤さんの拳が宙で一瞬静止し、次の瞬間、凄まじい勢いで振り下ろされた。
ゴッという鈍い音と共に、松本雨の頭が背後の自動販売機に叩きつけられる。彼の口の端から、つう、と一筋の血が流れた。だが、その顔には歪んだ笑みが貼り付いている。
『やった! 暴力事件発生!』
『これで少年院行き確定www』
弾幕が目の前を嵐のように駆け巡り、私の心臓は張り裂けそうだった。
「先週、俺がクラスの女子をいじめてた時、お前が止めに入ったよな?」
松本は口元の血を乱暴に拭い、挑発的な眼差しを斉藤さんに向ける。
「俺が告白されて断ったら襲われた、って噂を流してやったんだ。お前を『告白に失敗して女に...
ログインして続きを読む

チャプター
1. 第1章 誤って送られた弁当
2. 第2章 ごめんなさい、この三ヶ月弁当は全部私が食べました
3. 第3章 意外なランチと気遣い
4. 第4章 深夜の逃亡

5. 第5章 意外な避難所

6. 第6章 若様と野良猫

7. 第7章 勇気と警告

8. 第8章 真実と勇気

9. 第9章 父の懇願

10. 第10章 父の去り

11. 第11章 東京での再会

12. 第12章 モブキャラがヒロインに昇格


縮小

拡大