第13章
裏口から砂漠の冷たい夜気の中へ飛び出した。岩場を走りながら、肺が焼けるように痛んだ。後ろから聞こえる銃声と怒声が次第に遠ざかる。
和也は私の手を強く握って、つまずきそうになると引っ張り上げてくれる。龍一と大輔が私たちを挟むように走り、月光に照らされた顔は険しかった。
「あそこだ!」和也が砂漠の端にある大岩の集まりを指差した。「あの岩陰に隠れられる」
私は怯えたふりをして、彼に身を寄せた。「和也、怖い。もし捕まったらどうしよう?」
彼はすぐに私の肩を抱き寄せた。「大丈夫だ。君には何もさせない」
(甘い人。まだヒーローを演じているつもりなのね)
背後から龍一と大輔が追いつい...
ログインして続きを読む
チャプター
1. 第1章
2. 第2章
3. 第3章
4. 第4章
5. 第5章
6. 第6章
7. 第7章
8. 第8章
9. 第9章
10. 第10章
11. 第11章
12. 第12章
13. 第13章
縮小
拡大
