第2章

翌朝、私はまるで戦場に足を踏み入れるかのように、ダイニングルームへと向かった。

母と父はいつも通りの穏やかな朝食をとりながら、何かの慈善パーティーについて話していた。向かいには藤井景が座り、完璧な息子を演じている――父のゴルフの話を尋ねたり、母の新しい髪型を褒めたり。その光景はあまりにも普通で、無害に見えた。

だけど私は、彼の表情の些細な動き一つひとつを見逃さなかった。一瞬の間も。目の奥が笑っていない、あの笑顔も。

彼が本当はどれだけ覚えているのか、試す時だ。

「藤井景」

私は椅子に腰かけながら言った。

「誕生パーティー、もういらないわ」

彼はわざとらしいほど丁寧にコーヒーカップを置いた。その瞳が、まっすぐに私を捉える。

「どうしてだ?十八歳になるのを、何か月も楽しみにしていたじゃないか」

「なんだか、すごく大変そうだから」

私はトーストにバターを塗りながら、さりげない口調を装った。

「それに、みんなの前であなたが私を守るとか、大げさなスピーチをするのも嫌だし」

彼の眉がぴくりと上がった。

「何のスピーチだ?まだ何を言うかなんて、何も考えていないが」

嘘つき。一度目の人生で、彼はあの「正式な保護宣言」のスピーチを何週間も前から準備し、練習までしていたくせに。

「代わりに何をするにしても、佑衣を招待したいの」

私は彼の反応を窺いながら言った。

藤井景のフォークが、口へ運ばれる途中でぴたりと止まった。

「中島佑衣?君たちは確か……何か仲違いしたんじゃなかったか?」

「何言ってるの?私たちは別に、普通よ」

彼はすぐに体勢を立て直した。

「ああ、いや。ただ、最近あまり話していないようだったから」

私は一か八か、賭けに出ることにした。

「景、もしもいつか、あなたの保護を必要としなくなったらどうする?」

彼はカトラリーを完全にテーブルに置くと、私をじっと見つめた。

「君は常に保護を必要とするよ、藤井杏。世界は君が思っているよりも危険な場所なんだ」

「でも、私が独立するって言い張ったら?」

彼の声が一層低くなった。

「その時は、君がどれほど俺を必要としているか、思い知らせなければならなくなるだろうね」

……それだ。あの口調。あの眼差し。私が死んだ夜と、まったく同じ。

母が新聞から顔を上げた。

「あなたたち、今朝はずいぶん真剣な話をしているのね」

「杏の将来について、少し話し合っていただけですよ」

藤井景は、私から一度も目を逸らさずに言った。

私たちの間に、まるで弾丸の込められた銃のような沈黙が広がる。父が私たちの間を交互に見ているのがわかった。きっと、ただの兄妹喧嘩だと思っているのだろう。

その時、藤井景が微笑んだ。いつもの表向きの笑顔じゃない――まったく別の、何か。

「なあ、杏。昨夜、奇妙な夢を見たんだ」

「そうなの?」

「未来の夢だ。起こるかもしれないけれど、起こるべきではないことについての」

私の心臓が跳ね上がった。

「どんなこと?」

「過ちだ。誰かが賢く、事前に気づくことさえできれば避けられたはずの、過ち」

私はコーヒーカップを握る手に力を込めた。

「たとえば?」

「たとえば、大切な人を孤独にしすぎること。十分に守ってやれないこと」

彼の笑みが深くなる。

「でも、夢というのは面白いものだな。時として、二度目はもっと上手くやる方法を示してくれる」

「もし二度目のチャンスがあったなら」

私は慎重に言葉を選んだ。

「何を違うようにするの?」

藤井景は身を乗り出した。

「今度は、誰も――永遠に――離れられないようにする」

「もし、その人がそんな保護を望んでいなかったとしたら?」

「望むようになるさ」

彼の声は柔らかく、優しささえ感じさせるほどだった。

「人というものは、何が自分にとって最善なのかを理解するのに時間がかかるものだからね」

「それでも拒み続けたら?」

「その時は、拒絶という選択肢が実質的に存在しないことを思い知るだろう」

手が震えてきた。彼に見られる前に、マグカップをテーブルに置く。

「藤井景」

私は静かに言った。

「これ、夢の話じゃないって、お互いわかってるよね?」

彼は完璧に取り繕うのをやめた。その声は平坦で、事実を告げるような響きだった。

「ああ。これが何の話なのか、お互いによくわかっているはずだ」

「だったら、同じ過ちを繰り返さないことも、わかってるはずよ」

藤井景は、なんと笑った。

「過ち?杏、君は本当は何が起きていたのか、何も知らなかったじゃないか。君は完璧だった――人を信じやすく、依存的で、俺が望んでいたそのものだった。唯一の過ちは、君を追い詰めて……させてしまったことくらいだ」

彼は肩をすくめた。

「まあ、今回はそうはならない」

「もう二度と、あなたを信じない」

「信じるようになるさ。今回は、どこで間違えたのかわかっているからな。今回は、もっと上手くやる」

「どういう意味?」

「今回は、俺たちの邪魔をする者は誰もいない、ということだ」

その言い方に、血の気が引いた。

「何をしたの?」

藤井景は腕時計に目をやった。

「面白いことを聞くな。昨日、中島佑衣から電話があったんだ」

「何ですって?」

その言葉は、自分でも思うより鋭く響いた。

「君のことを心配していたよ。だから教えてあげたんだ。君が最近、大変なストレスを抱えていること。そして、少し……精神的に不安定になっているかもしれない、とね」

嫌。いや、いやだ。

「今こそ友人たちの特別な支えが必要かもしれない、と説明しておいた。特に十八歳になり、信託基金を相続し、人生の大きな決断を迫られるプレッシャーもあるだろうから……と」

彼は首を傾げた。

「彼女は、とても物分かりが良かったよ」

「……この、人でなし」

「言葉に気をつけろ、杏」

だが、彼はまだ笑っていた。

「俺は過ちから学んだんだ。前回はあまりにも後手に回りすぎたし、やり方も雑だった。今回は先手を打ったのさ」

「他に何をしたの?」

「いくつか電話をしてね。関係がありそうな人たちに連絡を取った。君が少し、精神的に問題を抱えていると伝えておいたんだ。あまり大事にはせず――ただ、君が突拍子もないことを言い出した時に、周りがその理由を理解できるように、ね」

私が勢いよく立ち上がったせいで、椅子が床を擦る音がした。父が心配そうにこちらを見た。

「どうしたんだい、杏?」

「大丈夫」

私はなんとか答えた。

「ちょっと、風に当たりたいだけ」

藤井景も立ち上がり、私に歩み寄る。

「わかるかい、これが素晴らしいところなんだよ、杏。君には二つの選択肢がある。俺と協力し、以前そうすべきだったように、俺に面倒を見させるか。あるいは俺と戦い、君が大切に思う人たちが皆、君を精神的に不安定だと見限るのを見ているかだ」

私は彼の目をまっすぐに見据えた。

「第三の選択肢があるわ」

「ほう?」

「私が先に、あなたを破滅させる」

一瞬、彼の顔に危険な光がよぎった。だが次の瞬間、彼は、本当に声を出して笑った。

「それは面白そうだ。このゲームのルールを、どちらがより熟知しているか、見ものだな」

玄関のドアベルが鳴った。

家政婦の小川碧さんが、戸口に姿を現した。

「お嬢様?中島佑衣様がお見えです」

藤井景と私は、ダイニングルームを挟んで互いを睨みつけた。

彼は、あの完璧で冷たい笑みを浮かべた。

「どうやら、ゲームが正式に始まったようだな」

中島佑衣が来た。でも、彼女は友達として?それとも、すでに藤井景に籠絡された後?彼は一体、私のことを彼女に何と話したんだろう?

親友が味方として、あるいは敵としてこの家に入ってくるのか――それを判断するのに、私に残された時間は三十秒ほどだった。

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