第6章

心臓が激しく鼓動を始めた。

「どういうこと?」

高橋有希は藤井景の存在を完全に無視して話し続けた。

「心臓発作は自然なものじゃなかった。藤井景が彼の薬に何かを混ぜたの。クレジットカードの記録も、購入履歴もあるわ」

「高橋さん」

藤井景が穏やかに遮った。

「混乱しているようですね。頭の怪我が――」

「あなたがよく体調を崩していた頃の血液検査の結果もあるわ、藤井杏。いつもどれだけ疲れていたか覚えてる?頭がはっきりしなかったでしょう?」

まさか。彼はずっと私に薬を盛っていたんだ。

「それはただの定期健診の医療記録ですよ」

藤井景が言った。

「そんなものを勝手に――」...

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