第6章

翌日の午後三時、私は荷造りをしていた。

ここを出る。それしか選択肢はなかった。

チャイムが鳴った。

ドアスコープを覗くと――玲奈が立っていた。手には保存容器を持っている。

「いるのはわかってるわよ」彼女はドアに向かって言った。「奏介は裁判中。夜まで戻らないわ」

私はドアを開けなかった。

「美咲、私が嫌いなのはわかる。でも……」彼女の声は少し震えていた。「どうしても伝えなきゃいけないことがあるの。あなたの赤ちゃんのことよ」

ドアノブに置いた手が止まった。

「検査結果に異常な数値があったの」彼女は続けた。「かつての友人として、これだけは……」

私は勢いよくドアを開...

ログインして続きを読む