第8章

結婚式が破談になったあの日から、俺は抜け殻のように生きていた。ある夜明け、不意に目が覚めるまでは。もし、美咲の言っていたことがすべて真実だったとしたら?

俺は書斎の壁一面に貼られた写真や書類を睨みつけた。目は充血し、血走っている。一ヶ月。クソッ、丸一ヶ月も無駄にした。

ドアが開き、分厚いフォルダーを抱えた私立探偵が入ってきた。

「松本様、覚悟を決めてください」

「話してくれ」

俺の声は、まるでやすりをかけたようにざらついていた。

探偵がフォルダーを開く。最初の一枚を見て、俺は目を見開いた。

「なんだこれは」

「高橋玲奈さんの医療記録です」探偵の声は冷静だった。「彼女...

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