第7章

午後四時、北海大学心理学会本部の会議室は、まるで葬儀のような重苦しい空気に包まれていた。五人の委員が長い会議テーブルに神妙な面持ちで腰掛けており、壁に掲げられた職業倫理規定が、さながら審判のように私たちを見下ろしている。

「星野さん、君のセッション中に三名のクライアントが情緒不安定を訴えている」佐藤委員長の声音は氷のように冷たかった。「君の個人の危機的状況が、専門家としての判断を鈍らせなかったと、どうして我々にわかるのかね?」

私は深く息を吸い、テーブルに両手をついた。「佐藤先生、私自身が心理操作を経験したことで、むしろ共感力や洞察力は高まりました。第三者のセラピストによる評価を希望...

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