あなたは従う

ケイン

アメリアの狼が、唸り声を上げながら俺へと忍び寄ってくる。狂暴化寸前、いや、すでにそうなっているのかもしれない。念話が使えないのは不利だが、この怒り狂った病的な狼は、俺の肉体の下に潜む怪物の存在に気づいていない。

ネイサンの狼であるホークが、変身していない俺を守るためだろう、俺たちの間に割って入る。だが、その必要はないだろう。

『どう動けばいい?』ネイサンが念話を送ってくる。

『俺が注意を引いている間に背後に回り込め。そして、俺が試している力の新たな使い方をよく見ておけ』俺の力のこの側面は、これまで数回使ったことがある。どういう仕組みで、どうやってできるのかは分からないが、いくつ...

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