ダンジョンストレンジャー

ケイン

俺は独房の隅に座り、計画を練る。影の力を使うには、夜の帳が下りるのを待たねばならない。影がなければ、影渡りはできないのだ。微かな足音が聞こえる。姿を見るより先に、彼女の匂いが届く。だが、その香りはいつもと違っていた。

相変わらず、美しい。

彼女の髪が、波のように背後で流れている。唇は尖らされ、その青緑の瞳が俺を誘い込む。目を逸らせない。ここが暗くて好都合だ。隠そうとしている俺の顔に浮かんだ欲望を、彼女に見られずに済む。これほどの欲望を抱いたのが最後はいつだったか、思い出せない。いや、そもそもあっただろうか。

興味深い。

彼女が独房の前に立った時、その忌々しい香りがなぜ...

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