ペイシェント・ビジル

ネイサン

椅子に根が生えたようだった。半死半生のルザーンが診療所に運び込まれてから、そして運命の番の絆が燃え上がってから、俺はずっと彼女のそばを離れていない。

離れるつもりもなかった。彼女が俺を見るまで。もう一人じゃないと、彼女が気づくまで。

治癒師たちが梳かしてくれた髪は、バターブロンドの柔らかなウェーブを描いて枕に広がっている。スタッフが様子を見に来ても、彼女のヘーゼル色の瞳はかすかに持ち上がるだけ。俺が話しかけても、一度として反応はなかった。だが、彼女が俺の存在を感じていることは、何も言われなくたってわかった。

「なぁ」俺は声を低く、穏やかに保つ。「もし漆喰の壁と睨めっこ対決をしよう...

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