ルナが現れる

ケイン

俺はアメリアの肘をしっかりと掴み、前へと導いた。触れた腕から彼女の身体の緊張が伝わってくる。彼女が壇上に足を踏み入れた瞬間、パックは静まり返った。鴉の羽を思わせるケープが背後に流れ、羽は首筋に沿って生きている王冠のように立ち上がっている。黒いビーズのネックレスと血のように赤いダイヤモンドがきらめく炎の光を捉え、複雑に結い上げられているにもかかわらず、チョコレートブラウンの巻き毛が彼女の顔を完璧に縁取っていた。すべてのディテールは意図されたもの。すべての要素が宣言だった。彼女は俺のルナであり、力そのものであり、そして誰にも触れさせぬ存在であると。

俺は護衛たちに合図して、彼女のマント...

ログインして続きを読む