引っ越し

アメリア

ネイサンの声が、途切れかけた念話を通して、まだ頭の中で微かに響いていた。『彼女は退院する。どこへ行かせればいいのかわからない。どうすればいいのかも』

今、診療所の廊下は薬草と消毒液の匂いがした。鼻を突くような、それでいてまとわりつくような匂い。空気は、あまりにも多くの痛みの物語の重みを運んでいるようだった。ケインが隣を歩いていた。鋼鉄でできた、無言の壁のように。ネイサンからの念話以来、彼はほとんど口を開かなかった。ただ、そこへ行って「片を付ける」とだけ言った。

私とケインは病棟の奥へ向かった。そこではネイサンが一番奥の壁のそばで待っていた。

彼の姿勢は硬直していた。まるで自らの処...

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