殺せない幽霊

ランドン

暖炉の火は熾火となり、書斎の壁に長く、揺らめく影を落としていた。俺の書斎。俺の作戦司令室。テーブルの上には地図が散乱し、羊皮紙とインクには、俺の手が擦れた跡が生々しく残っている。すべての国境、すべての境界線、すべての狼の位置を把握している。ただ一体、重要な奴を除いては。

彼女。

アメリア。

俺はテーブルに両掌を押しつけた。木が軋むほどに。彼女はここにいるべきだった。俺の武器、俺の嵐として。ケインが盗んだ戦利品のように、山に鎮座しているべきじゃない。奴の影のように、まとわりついているべきでもない。

『奴が彼女を手に入れたのは、お前が弱かったからだ』

俺は歯を食いしばった。その思考...

ログインして続きを読む