ザ・サクリファイス・イン・チェインズ

ケイン

地下牢の悪臭は、戦場のそれよりも酷かった。ここでは、血は雨に洗い流されることも、土に吸い込まれることもない。石にこびりつき、罅に染み込み、腐臭と恐怖と共に空気に澱んでいる。俺が廊下に足を踏み入れると、その空気を深く吸い込んだ。傍らでは、鎖に繋がれた獣のようにセルグがうろついている。

はぐれ者は一番奥の独房で待っていた。人の姿に戻れぬよう、狼の姿のまま枷を嵌められ、その毛皮は煤と血糊で固まっている。俺の姿を認めた瞬間、鉄格子がガタガタと鳴るほど生々しい唸り声を上げた。口元には泡が飛び散り、長く鉄を噛み続けたせいで歯はのこぎりのように欠けていた。

セルグは床に唾を吐きかけ、呟いた。「野性...

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