ヒドゥン・ファイア

アメリア

「これの青と、それから緑が一つずつ必要ね」シンシアはサンドレスをくるりと回すと、サイズを確かめるように私に当てがった。

「ズボンを一着買ってもらえないかな? 誰かズボンを売ってる人はいない?」私の声に懇願の色が滲んでいるのが、彼女に伝わればいいのだけれど。ドレスはもうこれ以上いらない。

「雌狼はズボンなど穿きませんよ、お嬢さん」イーディスは声に嫌悪感を滲ませて言い放った。

「あそこの人はズボンを穿いてる」私は通りの向こうで魚の燻製を並べたテーブルを守っている、年配の雌狼を指さした。

「あの方は商人です。魚を扱っている。あなたはアルファと番うのでしょう?」イーディスの眉が吊り...

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