ただ見ているだけ

アメリア

「火事だ……火事だ……火事だ……子供よ、この火は本物だぞ」

炎の悪夢からベッドで飛び起き、バスルームに駆け込んだ。長老狼の言葉が頭の中でこだまし、夕食をすべて吐き戻してしまった。今夜この悪夢を見るのが怖かったのだ。冷たい大理石が手と膝の下に感じられ、悪夢が現実ではなかったことを思い出させてくれる。

もう少し咳き込み、えずいてから、身を清めてベッドに引きずり戻る。もちろんベッドは冷たく、時計を見ると、ランドンは早くに私のベッドを離れたようだ。彼がくれる理由は知っているけれど、彼が一緒にいてくれると、悪夢を見る頻度は減るのに。

ローブを羽織って、彼がまだ起きているか確かめに...

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