第14話

あんな状態の私のそばにいたがるなんて、信じられなかった。健全な関係を築くための土台とは、とても言えない状況だもの。

翌日になると、嘔吐の頻度は前日ほどひどくはなくなっていた。それでもまだ気分は悪かったが、一人でシャワーを浴びられそうだと判断した瞬間、私はベッドから起き上がった。

清潔なパジャマに着替えてバスルームを出ると、部屋にはタキシードに身を包んだタイラーが立っていた。まるでギリシャ神話の神のようなその姿に、私は口をぽかんと開けたまま、しばし立ち尽くしてしまった。無意識に止めていた息をようやく吐き出し、私はベッドへと歩み寄った。

「ねえ、今夜は会場中の注目を独り占めすることになりそう...

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