第2話
「礼儀として、あとどれくらいここにいなきゃいけないの? みんなに見られるのはうんざり」私はベラにささやいた。
「あと数分よ。そしたら学校へ行けるから」彼女がささやき返す。
その時、戦士長のメイソンが入ってくるのが見えた。腰巾着のレヴィとロッキーを引き連れ、その視線は真っ直ぐに私を捉えている。
彼らは食事を手に取ると、頼んでもいないのに私とベラの席に加わった。メイソンは私のすぐ隣に座り、さらに近づこうと椅子を引き寄せたが、私はできる限り身をよじって距離を取った。
彼は大柄でハンサムだが、中身は最悪な人間だ。それは私自身、身をもって知っている。逃げ出した家族を追跡するために呼び出されるのは、いつだって彼だった。そして逃亡した家族の子供を、彼が自らの手で殺したことも知っている。彼とは一切関わりたくなかった。
「テッサ、いい知らせがあるぞ」メイソンは私を見ながら言った。
「それって何?」私はコーヒーを少し啜り、息を吐き出しながら尋ねた。
「お前の父親から許可をもらった」彼はゆっくりと言った。私は勢いよく顔を上げて彼を見た。
「何ですって?」私は叫びそうになった。数人がこちらを見たが、すぐに自分たちの会話に戻っていった。メイソンはニヤリと笑っている。
「お前が18になった瞬間、俺の『つがい』にする」
「本当の運命の相手は? 女神様が定めた相手はどうなるの? 彼は世界のどこかにいるはずよ」私は言い返した。
「知ったことか。そいつは他の相手を見つけるさ。それか、お前に拒絶されて衰弱死するだけだろう。俺にはどうでもいいことだ。だが、お前は俺のものになる。何年も前から望んでいたことなんだ」彼は私の髪を弄りながら軽く言ってのけた。私は目でベラに助けを求めた。
「そうね。私たち、もう学校に行かなきゃ。会えてよかったわ、メイソン」ベラが立ち上がり、私もそれに続いた。
彼らがテーブルに座ったまま動かないのをいいことに、私たちはバッグを掴むと、誰にも――ましてや自分たちの父親になんて絶対に――さよならを言おうともせず、急いで食堂を出て行った。だが、そう簡単にはいかなかった。
「二人とも、放課後はまっすぐ帰ってくるんだぞ。今夜は他所のアルファたちが大勢訪ねてきて、パーティーがあるからな」アルファが部屋の向こうから大声で叫んだ。私たちは二人とも足を止め、彼に頷いてから家を出た。
道を歩きながら、ベラが怒鳴った。「あなたの父親が、あんなクソ野郎にあなたを約束したなんて信じられない」
「私には信じられるわ。父さんは同類だからわかるのよ」
「本当にごめんね、テス。どうするつもり?」ベラは同情のこもった声で尋ねた。
「わからない。でも何とかするわ。たとえその時が来る前に逃げ出さなきゃいけないとしても、絶対にそうする」私は宣言した。
「やる時は私に言ってね。私も一緒に行くから」
「そうすることにする」私がそう言った瞬間、黒のBMWが私たちの進路を塞ぐように停車した。ぶつかる寸前で足を止め、何が起きるのかわからず二人で後ずさりする。
すると、運転席から身長190センチを超え、きれいに髭を剃った男が降りてきた。シャツが弾け飛びそうなほどの筋肉をまとった彼は、私たち二人を見て微笑んだ。
「なんだ? ハグもなしか?」彼が尋ねた。
「イーサン!」ベラが叫び、彼の腕の中に飛び込んだ。反対側のドアが開き、同じくらい大柄で、くすんだブロンド髪にうっすらと髭を生やした男が助手席から降りてきた。イーサンの親友、ワイアットだ。
ベラがようやくイーサンを離すと、彼は私の方へ歩み寄ってハグをしてきた。私は痛みに少し顔をしかめたが、悟られないように隠し、続いてワイアットともハグをした。同じように痛みを堪えなければならなかった。
「怪我してるのか?」イーサンが尋ねた。
「ええ、馬鹿なことしちゃって。何人かの戦士とふざけて取っ組み合いをしてたら、こうなっちゃったの。もっと気をつけるべきだったわ」私は平然と嘘をついた。
「女子は訓練禁止だろ。なんで戦士と取っ組み合いなんてしてるんだ?」ワイアットが尋ねる。
「さあね。その時はいいアイデアだと思ったのよ」私は肩をすくめた。「行こう、ベル。遅刻しちゃう」
「また今夜ね」ベラが再びイーサンをハグし、私たちはまた道を歩き始めた。ふと横を見ると、イーサンとワイアットが車にもたれかかって私たちを見送りながら、何か話し合っているのが見えた。
戦士と取っ組み合いをしたという言い訳を、彼らが信じていないのではないかと不安だった。
「ベラ。もしイーサンが私の父さんのことを知ったら、どうすると思う?」私は心配になって尋ねた。
「あなたもイーサンのことはよく知ってるでしょ。彼があなたの父親に何をすると思う?」ベラは自信たっぷりに答えた。「あなたの父親がメイソンにあなたを譲ったと知るまで待っててごらんなさい。イーサンはずっとメイソンを嫌ってるもの。イーサンがいる限り、『つがい』の儀式が進められるとは思えないわ。いいことよ」
「そうね。そうだと信じるわ」私は疑わしげに言った。
私の父はいつだって自分の思い通りにしてきた。どんなことであろうと。もし父が私にメイソンとマーキングを行い、つがいになることを望んでいるのなら、それはもう決まったも同然なのだ。
