第4話

「あと数時間で客が来るというのに、お前たち二人はイーサンと遊び歩いていたのか」アルファが言った。

「彼が学校まで迎えに来てくれたんです。どうすればよかったと言うんですか? もし断っていたら、何か隠し事があるのかと怪しまれたでしょう」

私は自分たちを弁護したが、ベラは少し後ろに下がって縮こまった。彼女は決して彼らに立ち向かうことができない。

「まあいい、お前たちにはやるべき仕事が山ほどあるからな。料理もしなければならないし、誰かが泊まることになった場合に備えて、パックハウス中の寝室を準備しておく必要がある」父が口を挟む。

「私がベラを手伝って部屋を片付けてから、キッチンの仕事に取り掛かります」と私は言った。

「そんな時間はない。寝室の掃除はベラにやらせろ。浴室を磨き、シーツを交換し、掃除機をかけるんだ。全てだぞ。このパックハウスにある全寝室だ。そしてテッサ、お前は前菜から始めろ。それから第一コース、第二コース、メインコース、そしてデザートだ」アルファが命令を下した。

「分かりました」

私はそう答え、ベラと目配せをしてから、私たちは別々の方向へと向かわざるを得なかった。

キッチンに行くと、そこには誰もいなかった。パックハウスで働くオメガはほとんどいない。アルファと父が、私たち二人の娘にすべてをやらせるからだ。学校に行くことさえ許されているのが不思議なくらいだった。

私は材料を取り出し、調理に何時間もかかるメインコースから作り始めた。それから、客を飽きさせないよう数種類の前菜に取り掛かる。

私がキッチンにいる間、父が入ってきて私の背後に居座った。全身が強張るのを感じたが、父はただ後ろに立って私を監視していた。それ以上近づこうとはしない。ただ私を威圧しているだけだ。父にとってはそれが全てなのだ。クソみたいなゲームだ。彼はそれを面白いと思っている。

準備が整う頃には、配膳係のオメガたちが到着していた。私は裏階段を使ってアパートメント部分へ上がり、自分の部屋へ直行した。

シャワーを浴びたが、鏡に映る自分の姿を見る気にもなれず、手早く済ませてクローゼットへ向かった。

私は床まで届く長さのガウンに着替えた。白いストラップレスのボディスに、淡いピンクの花柄レースが重なり、そのレースが肩を覆ってストラップのようになっている。スカート部分はシンプルな黒で、足元には黒のストラップ付きハイヒールを合わせた。

お尻まであるスノーブロンドの髪をとかし、シルバーとダイヤモンドのブレスレットと、それとお揃いのイヤリングをつけた。首元には何もつけず、ただ髪を下ろして素肌を見せたままにした。そして私は階下へと降りていった。

屋敷のメインエリアに着き、ベラの部屋の前で足を止めると、ちょうど彼女が出てくるところだった。彼女はこのパーティーに対して少し怯えているようだった。

「大丈夫よ。ただリラックスして、何人かに挨拶すればいいの。心配することなんて何もないわ。それが終われば、二人でボールルームのテーブルに座って、他の連中が何をするにせよ放っておけばいいんだから」と私は彼女に言った。

「分かってる。でもこういうパーティーは嫌いなの。着飾らされて……まるで父親たちが私たちを見世物にしてるみたい」

「まさにその通りよ。あいつらも自覚してやってるわ。さあ行こう、遅いって怒鳴られる前に」

私はベラと腕を組み、廊下を歩き出した。

階段を降りる。右手のリビングルームは家具が撤去され、隣接する部屋とも繋がって、人々が自由に動き回り、会話を楽しめるようになっていた。メインのボールルームはダンス用にセットされ、ダイニングルームには数百人が余裕で座れそうな長いテーブルが四つ並べられている。

リビングルームへ入っていくのは本当に神経がすり減る思いだったが、私は顔を上げ、胸を張るように努めた。人々が私たちに視線を向ける。

「私たちがこの会場で一番魅力的だから見てるだけよ。そう思ってればいいわ」

ベラが強張るのを感じて、私はそう囁いた。そして私たちは部屋の中へと進んでいった。

他のパックから来たアルファたちが挨拶に来る。もちろん私たちは行儀良く振る舞い、パックの顔として恥じない態度で接し、誰に対しても愛想よく丁寧に、当たり障りのない会話を交わした。

年配のアルファたちは、自分たちの跡を継ぐために仕事を覚えさせている十代の息子を連れていたし、二十代や三十代の者たちは友人や、あるいは自分たちのベータを連れているようだった。よく分からないけれど。

二十分ほど会場で歓談していると、馴染みのある匂いが鼻をつき、強い腕が私の腰に巻きついた。すぐにそれがメイソンだと分かった。

「この部屋で気に入った奴を覚えておけよ、ハニー。俺たちの結婚式に招待してやるからな」

メイソンは私の首のくぼみの匂いを嗅ぎながら、耳元で低い声を漏らした。

私は腹部に回された彼の腕を解こうとした。折れた肋骨が激しく痛み出していたが、彼は何があっても離そうとしない。私には彼を振りほどく力なんて残っていなかった。

その時突然、部屋を切り裂くような唸り声が響き渡った。

バンドの演奏が止まり、何かが砕ける音がした。木の椅子か何かのようだ。

全員が音のした方を向く。そこには、今まで見たこともない男が立っていた。二十代前半だろうか。肩まである茶色の髪、茶色いあご髭。身長は少なくとも6フィート6インチ(約198cm)はある。鍛え上げられた筋肉は緊張で張り詰め、その強烈な視線は私とメイソンを真っ直ぐに射抜いていた。

誰なのか見当もつかない。私はその場で凍りついた。男は純粋な憎悪を目に宿して私たちを睨んでいる。だがすぐに気づいた。その憎悪はメイソンに向けられたものだ。私ではない。

「俺のものだ」

彼はそう宣言した。

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