第6話

「彼女は怪我をしているのか?」ケイドが尋ねた。

「わからない。たぶんね」イーサンが答える。「本人は戦士たちとじゃれ合っていたと言っていたが、怪しいもんだ」と彼は続けた。

「テッサがうちの戦士たちとじゃれ合うなんてありえない。私は女子に戦士との接触を禁じているからな。女子は訓練を許可されていないし、危険すぎる」トビアスが言った。

「やっぱりか。親父がやったんだな」イーサンがケイドに告げた。そして彼は、困惑と少しの哀れみを浮かべた目で私を見た。イーサンにそう言われてしまうと、私は彼の顔をまともに見ることができなかった。

「みんな黙ってくれない? 私はここにいるのよ。いないみたいに私の話をしないで」息をするのも苦しい状態で、私はそう言い放った。

それから間もなくして会議室のドアが乱暴に開かれ、メイソンが部屋から飛び出してホワイエを抜け、家の外へと出て行った。彼の友人たちが続き、その後ろから父、タイラー、そしてアルファが出てきた。

「荷物をまとめてきなさい、愛しい君(スイートハート)」タイラーが私に言った。評議会が彼らに決定事項を伝えたのだろう。私は「つがい(メイト)」と共にここを去るのだ。

「俺たちも手伝うよ」ケイドが言う。

「その必要はない。荷造りは私が手伝うし、一人娘に別れを告げたいからな」父は呂律の回らない口調で言った。その時、私はケイドがタイラーにマインドリンク(念話)を送るのを見た。

「残念だが、俺たちも絶対に行く」タイラーが言った。

私たちは大階段を上がり、廊下を進んで角を曲がり、別のドアを抜けてさらに廊下を進み、ようやく目的のドアへとたどり着いた。そこが私たちの居住区だった。

二階建ての構造だったが、すでに二階部分にいたため、私は自分の部屋に入り、父とタイラー、そしてケイドが後に続いた。

クローゼットに向かうと、彼らは私の服の多さを目にし、手伝いに来て正解だったと思ったようだ。「ルナ」になるなら、これだけの服が必要になるだろう。主催しなければならない行事やイベントがたくさんあるのだから。

私は服の上の棚にあるスーツケースを取ろうと手を伸ばしたが、痛みに呻いて肋骨を押さえた。

瞬時にタイラーの腕が私を包み込み、彼が触れた脇腹から電流のような火花が走るのを感じた。一瞬呆然としたが、彼は手を伸ばしてスーツケースを下ろしてくれた。

父はドア枠にもたれかかって見ているだけだった。私は洗面用具を詰めるためにバスルームへ向かった。しかし、私が中に入って一人になった途端、背後でドアが乱暴に閉められ、鍵がかけられた。

振り返ると、父が恐ろしい形相で立っていた。ドアの向こうでは、タイラーとケイドが激しく叩いている音が聞こえる。

「今は逃げられたと思っているんだろうな。だが、そう長くはいかないぞ。必ず連れ戻してやる。その時は、今夜俺に味わわせたすべてのことを後悔させてやる。この屈辱も、苦しみも。すべてな」父は唸り声を上げながら、じりじりと近づいてきた。私は壁にぶつかるまで後ずさりし続けた。「お前は俺から絶対に逃げられない。どこにいようと必ず見つけ出してやる」彼は歯を食いしばりながら言った。

「どうしてそんなに執着するの? 私がいなくなって清々すると思ってたのに」私は言い返した。

「お前は俺の娘だからだ。俺が作ったんだ、どう扱おうと俺の勝手だ。あのアルファのクソ野郎に邪魔はさせん。必ず連れ戻す。その瞬間、お前は後悔することになるぞ」父はそう断言した。

ついにドアが枠ごと外れ、タイラーが背後から父を掴んで部屋の外へ放り出した。それをケイドが受け止め、私の部屋の外へと連れ出した。

「大丈夫か?」タイラーが私の肩に手を置いて尋ねた。同じ心地よい火花が走り、肌に鳥肌が立った。

「ええ、大丈夫。彼は私を怖がらせるのが好きなだけ。それだけよ」私は言った。

「さあ、急いで終わらせてここを出よう」タイラーが促した。

私たちはすべての荷造りを終え、ケイドがそれらを車に積み込んだ。私は着替えもせず、ドレスのままだった。タイラーが一刻も早く私をあそこから遠ざけたがっていたからだ。それでもベラには別れを告げてハグをし、イーサンは連絡を取り合うと約束してくれた。彼なら何とかしてくれるだろう。

私はイーサン、ワイアット、そしてトビアスをハグした。タイラーはひどく不機嫌そうだったが、彼らは私の友人だ。このパック(群れ)で私にとって意味のある唯一の人々だったから、別れを言わなければならなかった。

ケイドが車の助手席のドアを開け、レイチェルに帰りは前に乗るように言った。彼女はまた私に殺意のこもった視線を投げてきた。そしてタイラーが私のために後部座席のドアを開けてくれ、私は車に乗り込んだ。彼は反対側に回って乗り込み、ケイドが運転席に座った。

見送りに来てくれたのは友人たちだけだった。たぶん、アルファが他の者たちに屋内待機を命じたのだろう。だが、イーサンは父親の言うことなど聞かない。彼は父親を憎んでいるし、その気になればパックを継げる年齢だ。たとえ父親を殺すことになろうとも、父親の行状をすべて知れば、イーサンならやりかねない。

私たちはパックの領地を出て走り始めた。最初はとても静かだったが、やがて助手席から金切り声のような苛立った声が聞こえてきた。

「ねえタイラー、つまり来週の私たちの結婚式はナシってこと?」レイチェルが言った。

私は弾かれたように顔を上げ、彼のほうを睨みつけた。

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