エレノア

抑えきれない怒りに任せて、私はカタナを握りしめた。正面にはラヴィーンが、そして背後からはイーサンの怒鳴り声が飛んでくる。

「エレノア! お前なんかに俺の民を率いる資格はない! 剣一本まともに振るえん奴が!」

「あなたの民じゃない!」と言い返したが、彼の言葉は石つぶてのように心を抉った。

私には実力が足りない。ラヴィーンと打ち合い、攻めあぐねている現状を見れば、それは火を見るより明らかだった。

彼は速すぎ、強すぎ、そして一切の手加減がなかった。

もっとも、それは良い兆候でもあった。もう私を壊れやすいガラス細工のように扱ってはいないということだから。

「統治する民ではないかもしれん。だ...

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