ニコライ²

彼女が立ち去る姿に、俺の中の何かが砕け散った。すべてうまくいくはずだという、最後の希望を抱いていた部分が。

列車が急カーブを曲がると、生まれ故郷の街並みは視界から消え、代わりに雪化粧をした木々と野原がぼやけた景色となって流れていった。

自分が逃亡者なのだという現実が、殴られたかのような衝撃となって俺を襲った。俺はいつだって爪弾き者だった。誰からも望まれず、家族、コミュニティ、存在そのものの中心から、遠く引き離されてきた。

だが今は、身を隠すことを強いられている。ようやく味わうことを許された幸福から、引き離されて。

あの小さなホテルの部屋、彼女の体の温もり、心に響く声――そのすべてが、遠...

ログインして続きを読む