ニコライの ²

俺が怒鳴り声を上げた後、部屋は凍てつくように冷え込み、静まり返った空気の中には俺たちの息遣いだけが響いていた。

伯爵の訝しむような表情は、とぼけたような困惑と怒りを浮かべたものへと変わった。

「私はただの外交官だ、小僧! 王家に仕える公僕であり、断じて……裏切り者などではない。そんなことは何も知らん、その汚らわしいものを顔の前からどけろ!」

俺は一歩踏み込み、引き金にかけた指に力を込めた。奴にもそれがはっきりと見えるように。

「とぼけるな、老いぼれ!」俺は奴の顔に吐き捨てるように言った。奴の尊大な雰囲気が俺の言葉一つ一つで恐怖に染まっていくのを見て、口の端を吊り上げる。「将軍のために貴...

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