ニコライ ²

サイラスとの経験のせいで、今回の旅はこれまで以上に困難なものになっていた。

あいつは、俺の正体を知る前から、俺のことを決して好いてはいなかった。初めのうちは、そのことを必死に隠そうとした。俺が誰の息子であるかを明かすなと、母さんから警告されていたからだ。だが、ある日あいつは戻ってくると、砦の全員にその事実を言いふらした。その日を境に、それはもはや、それとなくいびられるというような状況ではなくなった。

どうせ将軍が俺を嫌っているのだからと、誰もがやりたい放題だった。

だが、部下の兵士たちが穴を掘り、俺を放り込み、這い上がれるようにと蓋をするのをただ見ているだけだったのはまだしも――それ自体...

ログインして続きを読む