第25章

水原恵子は目を動かし、すぐには電話を切らずに続けて話した。

「あなた、今は油っこいものの匂いを嗅ぐだけで吐き気がするの。もう少さっぱりしたものにしましょうか？ええ、ええ、じゃあお昼に会ってから相談してね」

一気にそれだけ言うと、水原恵子はすぐに電話を切った。顔を上げると、彼女はその場で固まってしまった！

なんてこと！どうして佐藤和也が音もなくオフィスに立っているの？しかも自分を見つめている。

さっき言ったことは絶対聞かれていた。水原恵子はすぐに頭を下げ、今の佐藤和也の顔を見る勇気もなかった。

社員たちは、ある者はこっそり笑い、ある者は黙って俯いていた。佐藤和也の隣に立っていた経理部...