第5章

「またお前か?」悠也の声は苛立ちに満ちていた。

「今、美奈子の婚約指輪を選んでいる最中なんだ。お前のふざけた戯言に付き合っている暇はない!」

 その瞬間、心臓を無残に引き裂かれたような気がした。

 婚約指輪……。私がここで死を待っているというのに。

「悠也、お願い、聞いて」私は震える声を必死に抑え込んだ。

「本当に危ないの……誘拐されたの。今、私は――」

「いい加減にしろ!」

 鼓膜が破れそうなほどの怒号。

「お前の嘘も悪ふざけも、もううんざりだ! それと、婚約パーティーの日は絶対に邪魔をするなよ。もし何かしたら、ただじゃおかないからな!」

 ただじゃおかない? 私は力なく...

ログインして続きを読む