第6章

 解剖室の冷たい空気の中、私はただ無力に宙を漂っていた。悠也が顔の涙を乱暴に拭うのを見つめる。その瞳から感情が消え失せ、瞬く間に切っ先のように鋭く、冷たい光が宿るのを、私は見ていた。

「お前の言う通りだ、俊哉」

 悠也は拳を固く握りしめる。浮き上がった血管が、その怒りを物語っていた。

「あいつが昨夜、本当にリリと会っていたなら……俺の手で直接調べる。もしリリを傷つけたのがあいつなら、絶対に償わせる」

 私の心は安堵と恐怖で引き裂かれそうだった。悠也、やっと気づいてくれたのね。でも、もう遅すぎるかもしれない……。

 俊哉が力強く頷く。

「計画が必要だ。俺たちが何も知らないと思わせて...

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