第78章 田中春菜の彼氏

田中唯は仕事が終わると鈴木晶にメッセージを送り、タクシーで帰路についた。

家へ向かう途中、手頃な値段の酒を一本買った。父への誕生日プレゼントということにしよう。

どうせ何を贈ったところで、田中大志は彼女のことを気に入らないのだ。だから適当なものを贈って、儀礼を尽くしておけばいい。

「唯、やっと来たのね。首を長くして待っていたわ」

田中唯がドアをノックすると、田中礼子が扉を開けた。

彼女は驚きと喜びが入り混じった表情を浮かべ、熱心に家の中へと招き入れた。

滅多にない歓迎ぶりに田中唯は居心地の悪さを感じながら、手にしていたプレゼントを差し出す。

田中礼子はそれを受け取ると、中も見ず...

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