第15章 必ず待っていて

「看護師さん、祖母は?」

藤咲花音は巡回中の看護師を呼び止め、切迫した様子で尋ねた。

看護師は空っぽの病室に目をやり、困ったように微笑んだ。

「お祖母様なら、また他の病室へ遊びに行かれたようですよ。下の階を見てこられますか?」

遊びに?

藤咲花音は一瞬きょとんとしたが、すぐに看護師の腕を掴んでいた手を離し、我に返って階下へと向かった。

踵を返して二、三歩進んだところで、ちょうど桐島翔太と一緒に上がってきた祖母と鉢合わせになった。

「だって、一人で病室にいても退屈なんだもの。ヘルパーさんだって忙しいでしょう? 下の階の人たちと話している方が気が紛れるのよ」

祖母はまるで悪戯が見...

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