第37章 彼女を綺麗に洗う

仕立てのいい桐島征十郎のズボンの裾と革靴が、汚物で無惨に汚れていた。

彼はその場に立ち尽くしたまま、表情を読み取らせない顔で沈黙している。

「カノン姉さん……」

鈴木舞は目の前が真っ暗になった。心に浮かぶ言葉はただ一つ――終わった。

自分たちも、会社と『桐島グループ』との提携も、すべてが終わったのだ。

彼女は震える膝を必死に抑えて胆力を振り絞り、目の前の“大仏様”を見上げた。いっそこの場で土下座して、額を床に擦り付けたい衝動に駆られる。どうかお慈悲を、と。

「桐島社長、カノン姉さんは酔っていて……その、悪気はないんです。ズボンと靴は弁償しますから、どうか……」

口にしてはみたも...

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