第16章 一緒に行くとは言っていない

西園寺蓮の胸に澱のように溜まっていた鬱屈は、ようやく薄らいでいき、気分はずいぶんと晴れやかになった。

その時、スマートフォンの通知音が立て続けに鳴り響いた。九条莉奈から送られてきた、一連の美しい風景写真だ。

その数は十枚以上に及び、最後には彼女からのボイスメッセージが届いた。甘えた響きの中に、少しばかりの強引さを滲ませた声だ。

「レンお兄様、見て。『天空の高原リゾート』、素敵でしょう? チケットはもう取ったの。付き合ってくれるわよね?」

西園寺蓮の心に残っていた最後の一欠片の暗雲も、これで完全に吹き飛んだ。彼は優しく微笑んだ。

「ああ、いいよ」

「じゃあ決まりね。二日後に出発よ」...

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