第20章 覚えた

神崎彩をタダ働きさせるわけにはいかない。まずは関係を修復しなければならない――そう考えた西園寺蓮の指示を受け、江藤司は直ちに行動に移した。

だが、二人の予想は外れた。

定時を少し過ぎただけの時間だったが、マーケティング部に着いた頃には、フロアはすでにもぬけの殻だったのだ。

神崎彩は、久しぶりに会った部下たちとの時間を惜しみ、これが最後になるかもしれないと考え、彼らを食事に連れ出していたのだ。

西園寺蓮の顔色が瞬時に曇る。

あの女、俺に一言の断りもなく勝手な真似を……。

……

神崎彩のテーブルは、賑やかではあったが、どこか寂しげな空気が漂っていた。

神崎彩は冗談めかして言った。...

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