第052章 これが名門大豪邸の教養か?

『オーロラ』は瀟洒な高級クラブだが、都心から距離があるため、休日を除けば普段は閑散としている。

神崎彩は即答せず、相手の真意を測りかねて沈黙を守った。

その沈黙に、西園寺百合子が痺れを切らした。「十一時まで待つわ。もし来なければ、話は以前合意した四百億の慰謝料に戻るだけよ。追加の二百億は諦めることね。あの契約書は無効にするわ」

言い捨てるや否や、彩の返事も待たずに電話は一方的に切られた。

彩はスマートフォンを放り出し、ベッドに仰向けになると、天井を見つめて物思いに耽った。

西園寺百合子とは、以前から折り合いが悪かった。

結婚前、西園寺蓮が初めて彼女を実家に連れて行った時からだ。百...

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