第249話叔父の最後の訪問

無理やり目を開け、ドアの隙間から中を覗き込んだ。見張りをしていた少年が驚いて飛び上がり、振り返ると、そこには背が低く小太りの男が彼を見下ろすように立っていた。男はアムハラ語で何かを吠えたてる。非難するような口調だ。熱に浮かされた状態でも、なぜ家に帰らずに外をうろついているのかと問い詰めているのが分かった。

少年がとっさにチョコレートを背中に隠し、もうすぐ中に入ると何かを呟くのを、私は見ていた。

「最近、金回りがいいそうじゃないか」男はそう言うと、軽蔑したように少年を頭の先からつま先まで眺め回し、目を細めた。「爺さんのアパートでも売ったかと思ったがな。お前もなかなかやるじゃないか」

少年は...

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