第257話これは欲しくない?

イーサンは部屋の向こう側に座っていた。肌がぴりぴりするほどの強さで、その緑の瞳が私を捉えて離さない。彼の告白の後、私たちは重苦しい沈黙に陥った。

彼の瞳の中に葛藤が読み取れた。目を離した瞬間に私が消えてしまうのではないかという恐怖。私がここに留まることへの必死の願い。そして、落ち着き払った表情の裏に懸命に隠そうとしている、むき出しの欲求。

イーサンは私たちが行き詰まっていると思っていた。私がとっくに降参していたなんて、彼には知る由もなかった。

アームチェアから立ち上がると、私のあらゆる動きを彼の視線が追ってくるのを感じた。もし私がドアに向かえば引き留めようと、彼の身体がこわばる。けれど私...

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