第263話ヒューマンボム

階下の部屋からイーサンが出てくるのが見えた。ドア枠だけで、肝心のドアそのものがない。私は眉を上げた。

「そこで寝てるの?」と、ドアのない部屋を指して尋ねる。

イーサンはこともなげに肩をすくめた。「ドアがないだけだ。別に重要なことには影響しない」

彼は歩み寄ってきて、私の手を取った。その手つきは優しく、それでいて所有欲を感じさせる。

「どうしてこんなに早く起きてるんだ?」

私は答えず、代わりにクリス・ジェンセンに視線を向けた。彼は隠そうともしない面白そうな表情で私たちを見ている。私は彼をまっすぐに見据えた。

「何か見たい?」と、イーサンと私のことについて彼が抱いているであろう覗き見趣味を、喜んで...

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