第13章 虫がいる

それを聞いた斎藤徹は、手の中のくじを見つめたまま、その場に立ち尽くし、やや困惑した表情を浮かべた。

「これって、あんまり良くないんじゃないかな。みんな番組に参加するゲストなんだし、八人でもう一度くじ引きし直さない?」

彼は橘陸にちらりと視線を送り、それから橘詩音を見た。橘硯とは数年来の同級生で仲も良い。どう考えても、その妹の面倒を見るべきだろう。

「自分で譲るって言ったんじゃないの?さっきくじを引いた時は反対しなかったくせに、今になってしゃしゃり出てきて、何をいい格好してるんだ」

草薙隼人は嘲るように斎藤徹を見つめた。元々この宿泊環境には不満があったし、今さらごたごたするのはうんざりだ...

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