第38章 朝食

夜の語らいは、知らず知らずのうちに二人の距離を縮めていた。青山希は、自分がいつ眠りに落ちたのかさえ覚えていなかった。

翌朝、青山希は桐谷紫帆より早く目を覚まし、いつものように庭で太極拳を打ち、体を鍛えていた。

草薙隼人もたまたま早起きしており、ちょうど青山希が太極拳を打つ優雅な姿を目にした。

もともと洗面所へ向かうところだったが、その光景を目にした草薙隼人は洗面用具を脇に置き、その場に静かに立ち止まって見入ってしまった。

青山希の足取りはしっかりとしており、一連の太極拳は見事に繰り広げられていた。

草薙隼人が外へ出たときにはもう気づいていたが、太極拳は連続性が重視されるため、青山希は...

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