第74章

数分後、弓場風太郎はJ市大学の北西門に到着した。

ここは学生の出入りが比較的少ないため、下村強太はわざわざこの場所に車を停めていた。他の学生に、弓場風太郎が自分と接触しているところを見られないようにするためである。

下村強太は見たこそごついが、その気遣いは非常に細やかだった。

弓場風太郎が意図的に自分の身分を隠していることには、彼はとっくに気づいていたのだ。

北西門に着くと、弓場風太郎はすぐに下村強太のベントレーを見つけ、ドアを開けて乗り込んだ。

「弓場様!」

弓場風太郎の姿を見ると、下村強太は恭しく声をかけた。

「調査を頼んでいた件、どうなった?」

弓場風太郎は無表情に尋ね...

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