第80章

まもなく、受付係が全身から妖艶な雰囲気を漂わせる女性を連れて、奥から出てきた。

「あら、どなたかと思ったら、薫じゃない」

高橋彩は村上薫の姿を見ると、非常に親しげに声をかけた。

「高橋彩、私のお客様があなたに聞きたいことがあるそうよ」

村上薫は今日、高橋彩と軽口を叩き合う気分ではなく、単刀直入にそう返した。

「あなたのお客様?」

高橋彩はその言葉に一瞬戸惑い、そして淡々と言った。「そのお客様はどこにいらっしゃるの?」

「弓場様はあちらでお待ちよ」

村上薫はそう言いながら、弓場風太郎のいる方へと歩いていった。

高橋彩は村上薫とはずっとそりが合わなかったが、彼女の能力については...

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