第81章

まもなく、高橋彩が契約書を手に、足早に弓場風太郎のもとへ駆け寄ってきた。

そして、そっと声をかける。

「弓場様、契約書のご用意ができました。お支払いはどのようになさいますか?」

「カードで」

弓場風太郎は淡々と答えた。

「かしこまりました」

高橋彩は急いで頷くと、弓場風太郎にどうぞと促す仕草をしながら、笑顔で言った。

「弓場様、こちらのお支払いカウンターへどうぞ」

「ん」

弓場風太郎は立ち上がり、高橋彩と村上薫の二人に続いてモデルルームの受付へと向かった。

モデルルーム内にいた他の不動産営業たちも、この状況に興味津々で、弓場風太郎たちの後をついてきた。

まるで古代の王様...

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