第95章

ブランドショップの入り口から、それほど背の高くない人影が飛び出し、山崎風太の手にある薔薇の花束をひったくった。

その人影を目にした一同は、皆その場に固まり、顔には不思議な表情を浮かべていた。

そして、地面に跪いていた山崎風太の顔にも、怒りの色が浮かび上がってきた。

ミナは無意識に目の前の人物に目をやり、それから非常に驚いた表情で叫んだ。「弓場風太郎、どうしてここにいるの?」

「こいつと付き合うなんて、絶対にダメだ!」

弓場風太郎は無表情のままミナに言い放った。

「弓場風太郎、あなたに何の関係があるの? 私が山崎さんと付き合うかどうか、あなたに関係あるわけ?」

ミナは我に返ると、...

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